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            メール・マガジン

       「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第031号         ’00−02−11★

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     行く先不明

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●Y2Kコンピュータ・トラブル

 

を避けよう、の呼びかけが効いたらしく、正月休みは海外旅行を控えた人たちが

多かった。 その分、、、 というわけで、1月中旬にズレた出国ロビーの混雑

模様がTVに映し出されました。  フーン、やっぱり出たがるんだよなあ、、、

 

眺めているうちに、こんな想像をしました。

 

 

完璧な旅行支度の、しかし何やら心許ない感じの男が、エア・ラインのチケット・

カウンターの前に立ちます。 係の女性がニッコリ、「はい、どちらへ?」。

 

それに応じた彼の言葉が、「え? あの、私、どこへ行くんでしょう?」だったら、

彼女の目に彼はどう映るでしょうね?   こりゃフツーじゃない、としか、、。

  

ところがその男、(検査すれば)精神科的にはフツーでIQも人並み、大真面目で

悪気は一切ない(と、彼がどう証明してみせるか知らないが)のです。 

 

で、彼女は言います。 「ここはアメリカ行きのカウンターです。」 すると、彼、

「ええ、アメリカ<でいい>です。」 彼女はチケットを渡すか? とんでもない。

 

「ここではアメリカ<がいい>という人にサービスしています。 そのお答えです

と、あなたはアメリカ向きではありませんね。 残念ですが、」 即ち、お断わり。

 

*   *

 

すごすご引き下がった彼、次にどうするか? 見れば、懲りずに別のカウンターへ

歩いて行くんですな、トランク引きずって。 そして再び、同じようなやりとり。

 

そこの係員も尋ねます。「どちらへ?」 彼、「え? あの、私、どこへ、、?」

「ここは中国行きのカウンターです。」 彼、「なら、中国<でいい>です。」

 

「どうも中国は、あなたが本当に望む先ではないようですね。 中国<がいい>人

でないと、チケットを差し上げても、きっと途中で、、、」  またもやお断わり。 

 

彼、もちろん引き下がるが、飽くことなく別のカウンターへ歩いてゆく、、、。

 

*   *   *

 

こんな風にあてどなくさまよう人がいたら、誰でも「この人、オカシイ」と思うに

違いない、、、が、見回すと、おや、チケット・ロビー全体が<そんな人>で一杯!

 

「どこかへ行きたい」らしいことは分かる。 が、それが<どこ>なのか、本当の

ことはご本人にも分かっていない「らしい」。 それを確かめようとすると、すぐ

言葉に詰まったり、変な作り話を始めるので、「らしい」と察しておくほか無い。

 

察するには、、、でトランクの中身を見せてもらうと、、、いやはや何とも、、、

まず役に立ちそうもない半端ものばかり。 いったいどこで使うのかね? 自分用

じゃなさそうだし、お土産でもないみたい、、、見当がつきません。 チケットを

斡旋してあげようにも、、、これじゃ、ねえ? 

 

そこで念を押します。「今までどこにいたの? そこで何していたの?」 すると、

「ええ、たしかリージャーランド(と大宅壮一は正しく<発音>しました)という

ところで、、 エーと、、、真理の探究、、だったかな、、、」

 

*   *   *   *

 

こういうのが右往左往、「どうして乗せてくれないんだ?!」と叫んでいる今の

時代を「超氷河期」と称するようですな。 全くサムイ話ではあります。

 

可哀想に、たまたまTVのルポもので取り上げられたK大生の例、13社を受験、

全敗。 相手は商社、生保、広告、TV、エトセトラ。 その自由を憲法が保証

する<職業の選択>ではありますが、そりゃキミ、あまりにデモシカが過ぎるぜ。

 

本当はアメリカだけど、まあアフリカでもいいや、だって?!  おいおい、

長いワラジをはくことなんだよ、人生は。 そんな<行く先不明>で良いわけ

ないだろうが、、、

 

*   *   *   *   *

 

紆余曲折を経て、どこかにはたどり着く。 が、そこに<住み着く>だろうか?

 

心の隅に、果たせなかった想いがくすぶり続け、「これは本当の自分ではない」

と呟く毎日、、、かも。 まあ、中途採用も異例ではなくなったようですから、

またどこかへ挑戦する手もあるでしょうが、、、。

 

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●「一般に日本人は

 

何のためにとか、いかなる目的でというような根本的な問いを立てたがらない

民族である。 善かれ悪しかれ、未来に対する曖昧で楽天的な生き方が、日本

人のある意味における救いになっている」という説もあります。

           (西尾幹二:戦略的「鎖国」論 p.284 '88 講談社)

 

日本人論や比較文明論は一時ほど盛況ではなくなりましたが、読み返すほどに、

我が民族の不易性を感じさせられます。 そりゃそうでしょう。 戦争でいたぶ

られ、高度成長に舞い上がり、今やグローバル化にアップアップ、、、の経験は、

たかだかここ数十年。 (外敵との接触なし、という意味での)安穏の数千年間

に形成された遺伝子が、急に進歩も変化も遂げるわけがありません。

 

 

草食的なら棲む所から動くことも少ないし、生えるものは分かっているから急ぐ

必要も無い。 が、肉食性だと、獣を追わなくてはならないし、仕留めるために

携える武器も選ばなくてはならない。 目標の定め方、手順の立て方などの点で

欧米人が達者なのは、多分そのせいだろう。 その彼らの流儀が今、デファクト・

スタンダード。 勝手が違うので、どうしても後手に回らされてしまう。

 

しかも企業は<目的社会>。 人為的に造られた<組織>なら、作り替えること

もある。 その<部材>は目的に適ったものを選ばなくてはならない。 以前は

自給自足、<素材>を手に入れ、カスタム・メイドに仕上げたものでした。

 

が、今はそんなノンビリしたこと、言っていられない。 ネットとかで補強する

から、部材も沢山は要らないんだ、、、と組織は思うが、<素材>は気付かない

し、その供給元であるリージャー大学や親も(草食性だから!)分かっていない、

教えない、準備させない。 かくて、就職亡者の大量生産。

 

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●第29号「ギブなし世代」

 

の諸君もまた、草食動物。 間もなく<行く先不明の旅行希望者>の群に加わり

ます。 昨夏のセミナー体験のあと、(その世代に最も近接した年齢の)末息子

に尋ねました。 「お前たちの頃、どんな具合だったっけな?」

 

「俺は機械屋になるって、高校時代に決めていましたよ。 研究室にいたのは、

そういうのばかりじゃないかな。 まあ、文科系は仕方ないんだろうけど、、、」  

 

アハハ、私も中学時代、あだ名が<工場長>だったよ。 お古の<国民服>で

通学していたせいもあるが、わけ分からず「エンジニア志望!」だったし、ね。 

 

 

東洋大学が募った「現代学生百人一首」の本年版に、

   「なれるもの」探しはじめたその時から

         「なりたいもの」は遠のいていく  (高一・女)

というのがありました。

 

今だって、まともならすでにその時期、<先>を考えて当然。 それが一方の

端なら、大学卒業間近で未だ自分の何たるかも知らないのが他の端か。 昔に

比べ、<多様化>しましたな。 バラツキが大きくなったというか。 部下を

持たされる立場の人は、当たり外れの差が大きいことを覚悟しなくては、ね。

 

*   *

 

新卒さんだけではない。 長寿命化、即ち長く働かなくてはならない時代です。

勉強も一生続ける必要がある。 みんな、しているのかなあ?

 

普通「これになろう」が前提で、それに合った勉強の種類を選ぶもの。 いや、

そうしても必ず「なれる」とは限らない。 状況の変化や技術の進歩が極端に

速い現代、見込みが外れる率はむしろ技術系こそ高い。 しかも<一足飛び>

の利かない世界でもある。 比べたら、むしろ文科系の方が有利かも、、ね。

 

つまり、古来たいして進歩を遂げていない<人間>に関わる仕事をすることに

なるのだ、と考えて準備しておけば、ですが。 たとえば、心理学、交渉術、、、

 

教室で学べるだけではない、アルバイトやボランティア活動を通じても修得は

可能です。 ただし、常に<行く先>を見つめ、どんな効果を狙って学習して

いるのか、つまりそれをすることによって何を得ようとしているのか、、、

 

おや、またステートメントや MUST、WANT の話になってしまいましたな。

つまり、Rational Process は、このように普遍的なのです。

 

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●あなたの職場にも

 

そんな<行く先不明>者が迷い込んでいるのではありませんか? 自分のこと

すら考える<方法>を知らない人たち、が。 しかし、それも何かのご縁、

 

一緒に考えてやらなきゃならない、、、かも知れない。 その時に、あなたも

知らない、じゃいけません。 せめて29号、活用して下さい。 お手伝いも

致しますよ。

 

 

そうまでしても、その<旅行者>、また迷い出て行ってしまうかも知れません。

追っても無駄、そこが彼/彼女の<行く先>でなかった(らしい)だけのこと。

 

もともと彼らの採用を決めたのは、(多分)あなた自身ではなかった、でしょ?

<あなたに必要な人材>を本当に判別できるのは、誰でもない、あなただろうに。

 

また、自分で採用した人材なら、育成の情熱も傾けやすいはず、でもあります。

かくて間もなく、部署別随時採用方式を採る時代になる、と私は思います。

 

その場合に備え、人材判別法も身に着けておく必要があるでしょうな。 いや、

たださえお忙しいのに色々加わるとは、まことにご苦労様です。 

                            ■竹島元一■

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